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塾講が語る『秘伝』 |
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第28巻
数学 其の2 “算数と数学の違い〜算数得意・数学不得意?〜” |
皆さんこんにちは!
今回も前回に引き続き算数と数学の違いについてお話していきます。
算数と数学の違いを一言でいうと,「前者は具体的,後者は抽象的である」ということなんです。算数は数字を使って具体的に計算していくので,頭の中で想像しやすい科目です。しかし,数学はそうはいかなくて,とても抽象的で想像がなかなかできません。算数は得意だったのに数学になってよくわからなくなった理由はズバリこれなんです。具体的な例で示してみたいと思います。
(問題)
果物屋さんで,リンゴが1個20円,みかんが1個8円で売っています。リンゴとみかんを合わせて24個買って,ちょうど300円の買い物をしたいと思います。リンゴとみかんはそれぞれ何個ずつ買えばよいでしょう?
(算数の解法)
買った果物24個がすべてリンゴであったとすると,20×24=480円。
この金額は実際の金額よりも180円高い。リンゴとみかんを交換すると1個につき12円安くなっていく。180÷12=15で,リンゴを15個みかんと交換すれば,金額は300円になる。
よって,リンゴを9個,みかんを15個買えばよい。
これは,典型的な鶴亀算の問題で,すべてリンゴを買ったと仮定するあたりなかなか高度だと思うのですが,日常生活でもありえる話で具体的にイメージしやすいと思います。
(数学の解法)
リンゴをχ個,みかんをy個買ったとする。すると次の等式が成り立つ。
χ+y=24・・・(1)
20χ+8y=300・・・(2)
yを消去するために (2)−(1)×8を計算して,12χ=108χ=9
χ=9を@に代入してy=15
よって,リンゴを9個,みかんを15個買えばよい。
これは,連立方程式を立てて解いているんですが,いかがでしょう。なんか文字を使って(1),(2)と表したまではまだ理解できるが,それ以降の文字消去,代入などはいったい何をしてるんだい?って感じじゃないでしょうか。この(1),(2)の式はこの話を抽象化したもので,あとはこの抽象化した式を方程式として計算しているんです。つまり,あの鶴亀算で考えた具体的な話を抽象的な文字式の計算にすり替えちゃってるんです。
おそらく買い物をしていてこういう場面に遭遇したとき,(算数の解法)で説明された方が大人でもしっくりくるはずです。リンゴ1個をχ円とおいてね,・・・などとお店で説明されても全然理解できないですものね。ただ,算数の方の解法はイメージしやすく具体的ではあるけれども,スマートさがありません。っていうか泥臭いです。それに対して数学の解法は,抽象的でいまいち意味はわからないけれども,スマートで美しいです。こんなんで答えが出ちゃうの?へ〜!っていう感じですね。
算数は得意だったけど,数学がよくわからないという生徒の大半は,算数のときに具体的に考えることができた喜びが忘れられないものですから,このスマートで美しい数学の解法に具体的なイメージを求めてしまうんです。数学は関係を方程式などにまとめて手順に従って機械的に処理しているだけなので,1つ1つの計算にあまり具体的な意味はないにもかかわらず,です。そうではなくて,具体性はあまりないけどこういう簡単でスマートな解き方もあるんだと納得して数学的解法を覚えていくこと。それをしないといつまでたっても数学が得意にはなれません。
交通手段に例えるならば,算数は徒歩・自転車で,数学は自動車・新幹線・飛行機です。近くにちょっと出かけるぐらいなら徒歩・自転車の方が楽で速いこともあるでしょう。しかし中学・高校の数学の問題は,近くにちょっと出かけるようなレベルではありません。遠出をするような問題ばかりです。徒歩なんかでは1年かけてもたどり着けません。
数学が苦手にならないようにするには,要するにこれらの交通手段の切符を手にして,どんどん乗れるようになることです。そのときに,なんでこんな鉄のかたまりが猛スピードで動くんだろう?なんてことにこだわりすぎて,気味悪いからやっぱり自分の足で歩いていきますってな文明開化以前の人のようなことを言ってるといつまでたっても数学が得意科目にはできません。そのあたりをよく心得ていてほしいものです。
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