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塾講が語る『秘伝』 |
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第九巻
算数 其の三“暗算はどこまでO.KでどこからOUTなのよ?” |
子どもが計算ミスをしたとき、筆算のあとがなかったら「暗算でするからよ。ちゃんと筆算しなさい!」と言うのは、親だけじゃなく、学校や塾の先生も同じ。かといって、計算スピードを速めるには暗算能力を高めることが必要だし、何といっても我が子が複雑な計算を暗算で短時間に正解を出してしまうと、「賢いなぁ」と嬉しくなってしまいますよね?「じゃあ、暗算はどこまでO.KでどこからOUTなのよ?」
今回は、そんなギモンにお答えしたいと思います。
先頃、財団法人「総合初等教育研究所」の行った計算力調査の結果を、筑波大学大学院の清水助教授は「計算技能が身に付いているわりに、計算の意味を理解したり、活用する能力が劣る」と分析されています。暗算は、計算の過程を、具体物を使ったり紙に書いたりしないで、念頭にある数の観念(数詞、集合数、順序数、
数の合成・分解、大小比較などの理解)によって頭で計算するものだから、数の性質や計算の仕組みの理解にも役立つことになり、数についての判断や見通しを立てる上でも有効です。
でも、数を念頭で処理する限界や必要なレベルは個々で異なります。また、暗算の効能にばかり目を向けてしまってミスを重ねるようでは、中学受験を志す子の親としては…不安…。すると、益々「じゃあ、ウチの子はどうなのよッ!」ってことになりますよね。
まず、「1けたどうしのたし算」や、「10〜19の整数−1けたの数」、「九九」に関しては、式を聴いて反射的に答えが出てくるぐらいになっておきたいものです。これを身につけるには「暗誦」や「○マス計算」が有効です。それを超えるレベルは、中学受験をしないのなら小学校の進度に合わせて段階的に高めていけば良いでしょう。中学受験を志す場合は当然「限られた時間内で正解を出す」ことが必要だし、数観念に関する問題も出題されるので、自ずと要求されるレベルが高くなります。
ここでチョット、頭の体操をしてみましょう。次の□にあてはまる数を、暗算で求めてください。
(1) 19+32+45+47+53+68+81=□
(2) 12×75=□
(3) 123×456×789=4425343□
(1)は加法の交換法則と結合法則で、「100×3+45」とできます。(2)は数の分解・合成を利用して、「3×3×100」とできます。(3)は「3×6=18、8×9=72」と、一の位だけのかけ算をすれば求められます。
これらは、単に加減乗除の四則を筆算やソロバンを頭の中に描いて行う暗算ではなく、「数観念」を利用した暗算となります。中学入試では、こういった計算方法に気付けることも重要で、日頃から「数観念」を意識した練習ができているかどうかが上達のコツです。
次に、数を念頭で処理する限界について考えましょう。判断基準は精度とスピードです。問題レベルによっても多少違いますが、正答率が6割以下になったり、一つの計算に1分以上かかるようでは厳しいでしょう。テストでは暗算に固執するのではなく、筆算をすることで確実に正解を出すことを優先するべきです。
ただ、この「限界」っていうヤツは訓練によってある程度ラインを拡げることも可能なんです。
筆算を頭に描く「イメージ型」の暗算では、まず目に見える形で練習し、少しずつイメージへ移行していきます。珠算で、ソロバンの扱いに熟練したら、珠無しソロバンでイメージ力を鍛え、やがて指だけを動かして、ついには指も動かさなくなるように、筆算をイメージするときも、まずは筆算をていねいにかくことから始め、やがて筆算の式だけを書いて後を暗算し、やがては式も書かないようにする。それも桁数の少ない計算から始めると良いでしょう。また、朝のTV番組の中で紹介していた「インド式計算」も面白いと思います。これら「イメージ型」の暗算は、右脳を鍛えるという利点もあります。
さて結論ですが、「暗算はどこまでO.Kか?」は個人差があるので、次の2点によって判断されることをお勧めします。
(1)念頭で処理する限界を見極めましょう
「正答率6割以下」、「1つの計算に1分以上かかる」ときは、もう少し修行(?)を積んでから!
(2)目的を見失わないようにしましょう
中学受験をするのなら、「イメージ型」の暗算だけで終わらない。暗算、筆算に関係なく、「数観念」を意識した練習を!
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