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塾講が語る『秘伝』 |
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第三巻
理科 其の一“「理科の暗記法」について” |
「理科の暗記分野が苦手で…」「計算はできるんですが、暗記が嫌いで…」「覚えたつもりがすぐ忘れるんですが…」等々、暗記に対するご相談をご父兄や生徒から少なからず受けることがあります。そこで、今回は「理科の暗記法」について述べてみたいと思います。
人間の記憶には大別すると、「知識型の記憶」と「思考型の記憶」なるものがあるそうです。前者は、いわゆる「丸暗記」といわれるもの。後者は、物事を根本から理解して理屈を覚える能力ということになります。そして、個人の程度の差は大いにあると思いますが、小学生の中学年くらいまでは「知識型の記憶」が優勢で、高校生以上になると「思考型の記憶」が優勢になるそうです。つまり、理屈を理解しない(しなくてもよい)丸暗記は小さい子供のほうが得意だということです。確かに、小さな子供が、車の名前や電車の型などについて、驚くべき「記憶力」を披露して周囲の大人を驚かせ、父親、母親に至っては、「我が子は天才だ!」という束の間の夢を見るという悲しい(?)笑い話(?)はよく聞きますね。さて、そうすると、受験生はちょうど「思考型の記憶」が「知識型の記憶」を追い越す時期にさしかかっているいえます。だから割り切った丸暗記はどうもし難いし、物事を論理的に捉え、しっかり理解して覚えることも完全にはできない。こんな不安定さが冒頭の相談に繋がるんだろうなと善意(決して生徒の不勉強や怠慢ではない)に解釈しています。
理科の苦手な生徒に聞くとたいてい「わけのわからないことをたくさん覚えなくてはいけないので嫌い」といいます。ところが、得意な生徒は「覚えることは少なくて、あとはそれを使って考えればいいんだから楽だ」と答えます。つまり、苦手な生徒は「知識型の記憶」に頼りすぎ、得意な生徒は「思考型の記憶」が勝っているということでしょう。すなわち、理科では「知識型の記憶」は、ほとんど必要ではなく「思考型の記憶」を訓練し、発達させることが重要だということです。
そこで、「思考型の記憶」を実践する具体的な施策を以下に3つ述べたいと思います。
<1>理科用語の意味を考える。
<2>文字列を図や表で流れをつくったり、まとめたりする。
<3>先行体験のすすめ。
<1>理科用語の中にはそれ自体で意味を表しているものが少なくありません。たとえば、葉の裏に多くあり気体の出入り口となっている気孔。これは、まさに空気(気)の穴(孔)ですよね。また、血管の動脈(脈を打つ。)、静脈(脈を打たない。それで逆流を防ぐ弁がある)。これらは、言うまでもなく、意味を考えることで頭に入り易く、逃げにくいのではないでしょうか。
<2>は、理科ならではの覚える手法でしょう。たとえば、心臓を中心とする血液の流れなどは、図を用いれば、1つの器官ではなくそれに関係している複数の器官の名前や位置、そしてその働きまでも理解し、覚えることが出来るでしょう。下手(失礼)でも図に描いてみることです。このように図で考えを巡らせたり、ビジュアル的に捉えたりすることはインパクトがあり効果的です。
<3>たとえば、実験・観察の道具やその過程、そして結果を理解し覚える場合、当然ですが、前もって実験・観察を経験(見たり、聞いたり、そして触ったりすることができる。)しておくこと、すなわち先行体験をしておけば覚える際に頭に入りやすくなりますよね。また、実験・観察だけでなく、理科では身の回りの日常的なことを数多く取り扱っているので、普段の自分の経験(先行体験)を思い浮かべることでも役立つことは多くあると思います。
実際のところ、生徒個々は本当にそれぞれ違います。また、理科の暗記内容も1つ1つ挙げれば膨大な項目に及びます。したがって、それらのすべてが上記の施策で解決するとは到底思っていません。ただ何らかの参考になれば幸いだと思っています。
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