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『ペーターという名のオオカミ』 (那須田淳 小峰書店 税別1800円)
 野生のオオカミと接していく過程で少年の心が成長していくという物語。舞台はドイツだけど翻訳物ではなくれっきとした日本人が書いた作品です。
 とらえられていた野生のオオカミが事故で逃げ出します。その群れの中の一匹である子オオカミと出会った主人公のリオと友人アキラは、見つけた子オオカミを生まれ故郷に戻そうと決心し、家出をします。舞台設定の中で、ベルリンの壁によるドイツの東西分断の歴史と悲劇を織り交ぜたところまでは良かったのですが、その他のエピソードがめまぐるしく入り交じり、やや盛り込みすぎで重いかも。ま、深読みしない子供が読む分には十分面白いのではないでしょうか。第20回坪田譲治文学賞、第51回産経児童出版文化賞受賞作。
『ありえない日本語』 (秋月高太郎 ちくま新書 税別720円 )
 現実を目の前にしながら「ありえない」と言えるのはなぜか?
 「やばい」は肯定的に使っていいのか?  ファミレスの「メニューお下げしてよろしかったでしょうか?」は、どんな意味で「丁寧」なのか?
 若者を中心とした、いわゆる「乱れた」現代日本語の成立までの流れやその特徴をわかりやすく、順を追って説明した一冊です。
 この本、取りあげている言葉の裏付けデータが、十代の読者を対象とした「少女漫画(「りぼん」など)」や「テレビ(「恋のから騒ぎ」など)」、「インターネット」で使用されたものを中心としている点が、ユニークなところ。論の展開が非常に緩やかなので、小学校高学年〜中学生で、楽しみながら、十分読める内容です。
『動物の言い分 人間の言い分』 (日高敏隆 角川oneテーマ 税別571円)
 動物行動学の第一人者である筆者が、動物たちの生き方の意外な論理性を、身近な動物を例に、平易な文章でまとめたエッセイ集のような一冊。
 5つのテーマにそって論じられる34のお話は独自の眼を持つ専門家ならではのものばかり。氏の本は、長さ・文章レベル、内容のどれをとっても入試説明文の素材としてうってつけ。説明文を出題する学校の先生なら目をつけないはずがないといっても過言ではないでしょう。
『日本の文学 しろばんば 上・下』 (井上靖 金の星社 税別各900円)
 言わずとしれた、名作で、中学入試では、「古典」に分類される作品です。
  舞台は大正時代はじめの静岡県の伊豆で、井上靖の少年時代を自伝的につづっています。「古典」でありながら今でも出題されるのは、文体や表現の正確さと美しさによるものでしょう。読者を誤解させることなく、もっとも適切と思われる言葉を使っているので国語教師のお気に入りになるんですね。
2005年度入試では、広島城北中で出題。
『ガラスの地球を救え』 (手塚治虫 光文社 税別952円)
 副題に「二十一世紀の君たちへ」とあるように、地球の危機に際して未来を憂うメッセージ的な色彩の濃い作品です。 「なんとしてでも、地球を死の惑星にはしたくない。未来に向かって、地球上のすべての生物との共存をめざし、むしろこれからが、人類のほんとうの“あけぼの”なのかもしれないとも思うのです」とうったえる、筆者の、幼少の思い出から、自らのマンガ、そして未来の子供たちへの想いまでをつづった一冊。1989年、他界した天才マンガ家・手塚治虫、最後のメッセージです。
『機関車先生』 (伊集院静 集英社文庫 税別495円)
 新学期、瀬戸内の小さな島の全校生徒わずか7人の小学校に、北海道から臨時の先生がやって来た。身体がおおきくて、やさしい目をした先生。
 生徒たちは病気で口のきけない教師とのふれあいを通し、「信じる」ということや「本当の強さ」を学んでいく。
 瀬戸内の四季が美しい描かれてもいる作品。アニメ化され、また、映画化でも話題を呼んだ、柴田錬三郎賞受賞作。
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