考える眼、捉える眼、感じる眼を育てます。 鯉城学院
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『昆虫おもしろブック』 (矢島稔・松本零士著 ちくま文庫 税別838円)
 多摩動物公園の昆虫館の館長、自他共に認める「昆虫オタク」の矢島稔さんの著作はたくさんありますが、小学生向けの作品で有名なのは、偕成社の「わたしの昆虫記シリーズ」の『チョウとガのふしぎな世界』『ホタルが教えてくれたこと』『黒いトノサマバッタ』です。どの作品もいろんな賞を受賞した名著で、中学入試の出典としても有名です(広島大学附属中学でも『チョウとガ〜』が出題!)。
  本書は、一見取っつきにくい文庫ですが、言葉遣いがやさしく、論理的でとても分かりやすい文章は小学生でも十分読めます。本書は新刊ではなく、古い作品の再文庫化されたもの。とはいえ内容は未だに新鮮で入試の出典としては食指が動きそうな作品です。NHKライブラリーから昨年出版された『謎とき昆虫ノート』と合わせて是非ご一読ください。
『カワウソがいる』 (阿部夏丸著 ポプラ社 税別1300円)
 阿部夏丸は、坪田譲治文学賞・椋鳩十児童文学賞を受賞した『泣けない魚たち』(広大附属中で出題)を筆頭に、『見えない敵』『峰雲へ』等、少年と自然をテーマにした作品を多く書いています。基本的にアベナツ小説は「子どもの純粋な心」を描いたサワヤカ系。どの作品でも変わらないアベナツワールドが広がっています。
  本書は、はじめて川遊びを許された少年が、たくさんの未知の体験をしていく中で、不思議な出来事に出会います。特別天然記念物で絶滅したと言われているカワウソが目の前に! でも自分たち以外にはカワウソが見えません。カワウソと仲間と一緒になって川で過ごす日々が美しく描かれます。自然・友情・子どもの純情、という少年系物語文の王道をいく作品。やや中身の浅さはありますが、子どもにはむしろ読みやすいという点でオススメです。
『日本語 表と裏』 (森本哲郎 新潮文庫 税別400円)
 単なる「ことば論」ではなくて、日本人の国民的特徴まで言及した作品で、大変な名著として知られています。「よろしく/やっぱり/いい加減/どうも」など、いかにも日本的な曖昧表現をベースに進められる「日本的性格」についての考察には、納得、の一言。
  他にも『日本語根ほり葉ほり』とか『〈私〉のいる文章』などの有名な作品がありますが、表現は決して易しくないので、『〜表と裏』一冊読めば十分です。 ……が、その一冊すら国語苦手っ子には強敵でしょうけど。ぜひチャレンジしてもらいたい中身の濃い作品です。
『少年たちの夏』 (横山充男著 ポプラ社 税別1000円)
 舞台は1964年の初夏の高知県中村市(筆者の出身地です)。主人公は、ぼく、まもる、圭造の三人です。ぼくは、多額の借金を返済するために大阪で働いている両親と離れて、おばあさんと弟たちと三軒長屋で暮らしています。そんな境遇にもかかわらず元気いっぱいの自然児然としたところがぼくの持ち味です。みんなどこかしら心に傷を持っているにもかかわらず、さわやかで明るい子どもたちの姿が全編を通じて描かれています。「いかだ下り」という冒険をクライマックスにすえ、主人公の子どもたちをさまざまなシチュエーションで彩り、大人世界へのイニシエーションを描いているという物語の骨組み、主人公を多感な三人の六年生に設定し、たくさんの心温かい大人たちにつつまれているという人物設定など、横山作品お決まりのパターンという感じです。
『少年動物誌』 (河合雅雄著 福音館文庫 税別700円)
 児童書で有名な福音館書店が満を持して文庫を創刊しました。この文庫では同書店の名作(『魔女の宅急便』『小さな反逆者』など)が順次再刊されていきます。本書はその文庫の中の一冊です。中学入試頻出出典で、広島学院中学でも出題された 『小さな博物誌』、あれも同氏の著書です。著者と自然や動物たちとの交流を物語仕立てで描いた作品でしたが、この『少年動物誌』でも、少年と動物の交流を描きながら、人間と自然との共生を訴えています。いわゆるベストセラーとして長年版を重ねてきましたが、こうやって文庫化されると、目に触れやすいため入試での出題が増えることが予想されます。
『心の底をのぞいたら』 (なだいなだ著 ちくま文庫 税別440円)
 タイトル通り、この本は人の心の動きを研究する心理学の入門書のようなものです。「心理学なんて学問が中学入試で問われるの?」と字面だけで恐怖しないでください。子どもを相手に「こころ」の中の「意識の領域」と「無意識の領域」を分かりやすい例と表現で解説します。刊行以来ずいぶんになるのに、いまだによく出題される文章です。やはり国語の教師の好みに合う文章内容なんでしょう。とりあえず一度は目を通しておかないといけません。平成元年に広島学院中で出題。学院は平成8年にも『親子ってなんだろう』を出題してるけど、なだいなだが好きなのかな?
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